2012/06/14(木)預け替え

 ゆうちょ銀行の定額貯金を解約してネット銀行に預け替えるために会社の近くの郵便局へ行く。届出印を間違って持参してきたことが分かり、自宅に取りに帰って今度は自宅近くの郵便局へ。余計なお世話というか何というか、2カ所とも窓口の担当者が「ちなみに何にお使いになるんですか?」と聞いてきた。うーん。こういうわずらわしさがないのがネット銀行の良いところだろう。定期預金の解約なんて印鑑は不要だし、一瞬で終わる。

 もっとも、こうした窓口でのやり取りが振り込め詐欺を防ぐことにもつながっているのだと思う。それを否定する気はない。しかし、ネット銀行の金利の高さや利便性から見て、ゆうちょ銀行や一般の銀行は融資を受けた企業や個人と、ネットに無縁の高齢者向けに特化していくしかないような気がする。

 解約した定額貯金には他行に一度振り込んだら手数料でなくなるぐらいの利子が付いていた。金利0.14%で6カ月しか預けていなかったので仕方ない。ネット銀行の場合、1年定期でも0.3%の金利。水は高い所から低い所に流れるが、お金は金利の低い所から高い所に流れるのだ。

 なんてことを考えていたら、グリーン法律事務所というところから、チラシが届いた。「(消費者金融などのローンで)払いすぎた利息を取り戻そう」という案内。利息制限法で決められた利息は元本10万円未満の場合、年20%。これ以上高い利息を取られていたら、法的手段で取り戻せるのだそうだ。それはいいんですけどね。年20%なんて無茶苦茶な利息を決めている法律に問題がある。超低金利時代に合わせて、せめて5%ぐらいに引き下げてはどうか。

2012/04/22(日)「アーティスト」

 アカデミー賞5部門受賞に何の文句もない傑作。楽しくてホロッとさせて元気になる映画だ。エンタテインメントの要素をてんこ盛りにした作風が良い。昨今のバカCG映画((C)小林信彦)とは一線を画す仕上がりで、アカデミーノミネート作品でもこれがダントツの出来だろう。

 白黒スタンダードでほぼサイレントという作りなので最初はどうかなと思ったのだけれど、ルドルフ・ヴァレンティノ+ダグラス・フェアバンクスというよりもむしろクラーク・ゲーブルを思わせる主人公ジョージ・バレンティン(ジャン・デュジャルダン)の風格と、タップダンスが魅力的なペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)の組み合わせに引き込まれた。「スタア誕生」のプロットを大まかになぞりながら、サイレント映画のパロディに陥るわけではなく、立派にオリジナリティーがある。

 キム・ノヴァクはクライマックスで「めまい」の音楽が使われたことに異議をとなえたそうだが、バーナード・ハーマンのロマンティックで美しいスコアは少しも汚されてはいない。ハリウッド映画への愛情があふれた映画だが、それだけに終わらず、シンプルなラブストーリーとして好ましい出来だ。主人公を支えるベレニス・ベジョの役柄は男にとっては理想的な女性だ。

 欲を言えば、映画の中で言われるほどベレニス・ベジョがチャーミングに見えないのが難。タップを踊れて演技のできる女優は限られているのだだろう。

2012/04/11(水)「博奕打ち 総長賭博」

 公開当時は映画評論家から黙殺されたが、1年後に三島由紀夫が絶賛して評価が高まった。というのはよく知られた話。山下耕作監督の代表作であり、任侠映画を代表する作品でもある。笠原和夫の脚本の力も大きい。

 有名なのは和田誠「お楽しみはこれからだ」でも取り上げられた以下のセリフだ。主人公の中井信次郎(鶴田浩二)が、叔父貴分の仙波多三郎(金子信雄)を殺そうとする場面。仙波が天竜一家の解散を画策したために跡目争いが起こり、多くの人間が死ぬことになったのだ。

「仙波、こいつからなにもかも聞いたぜ。てめえのためにみんな死んだ。今度はてめえの番だっ」
「中井、てめえ、叔父貴分の俺に向かってドスを向けるのかよ。てめえの任侠道ってのはそんなもんなのかっ」
「任侠道? そんなものは俺にはねえ。おらあ、ただのケチな人殺しだ。そう思ってもらおう」

 任侠映画のパターンを壊すこのセリフが後の「仁義なき戦い」に発展していったのだろう。金子信雄の役柄も「仁義なき戦い」の“山守のおやっさん”を彷彿させる。

 「博奕打ち」シリーズは鶴田浩二主演という点は共通しているが、主人公の名前はすべて異なる。こういうシリーズも珍しい。WOWOWが「鶴田浩二特集」の枠で取り上げたシリーズは以下の通り。かっこの後にあるのは主人公の名前。

 第1作「博奕打ち」(1967年 監督:小沢茂弘 脚本:小沢茂弘、村尾昭、高田宏治)海津銀次郎
 第2作「博奕打ち 一匹竜」(1967年 監督:小沢茂弘 脚本:小沢茂弘、高田宏治)相生宇之吉
 第3作「博奕打ち 不死身の勝負」(1967年 監督:小沢茂弘 脚本:小沢茂弘、高田宏治)朝倉常太郎
 第4作「博奕打ち 総長賭博」(1968年 監督:山下耕作 脚本:笠原和夫)中井信次郎
 第5作「博奕打ち 殴り込み」(1968年 監督:小沢茂弘 脚本:笠原和夫)小嵐幸次郎
 第6作「いかさま博奕」(1968年 監督:小沢茂弘 脚本:村尾昭、高田宏治)明石常次郎
 第7作「必殺博奕打ち」(1969年 監督:佐伯清 脚本:棚田吾郎)保科金次郎
 第8作「博奕打ち 流れ者」(1970年 監督:山下耕作 脚本:鳥居元宏、志村正浩)舟木栄次郎
 第9作「札つき博徒」(1970年 監督:小沢茂弘 脚本:笠原和夫、志村正浩)柏木竜次/大島良平
 第10作「博奕打ち いのち札」(1971年 監督:山下耕作 脚本:笠原和夫)相川清次郎
 第11作「博奕打ち外伝」(1972年 監督:山下耕作 脚本:野上龍雄)江川周吉

 キネ旬の「日本映画作品全集」やWikipediaにはシリーズは10作と書いてあるが、これは間違いのようだ。「博奕打ち」がタイトルに含まれない「札つき博徒」をシリーズに入れるかどうかの違いで、キネマ旬報映画データベースや東映チャンネルでは「札つき博徒」が9作目と明記してある。

2012/03/31(土)「アジャストメント」

 あまり評判がよくなかったが、僕は面白く見た。IMDBの評価は7.1。まあ、そこそこ面白いということか。昨年買っておいた原作を見た後に読んだ。これはフィリップ・K・ディックらしい話で、現実の裏側にあるものを見てしまった主人公の話。現実を望まれる方向に調整するというプロットは同じだが、調整の仕方はまったく異なり、現実をいったん壊した後に再構成する。主人公はその調整現場にちょっとした手違いで遭遇し、会社のビルや同僚が灰のように崩れる場面を見てしまう。再構成されたものは以前とどこか違う、というのがディックらしい。

 映画の方は調整チームが主人公(マット・デイモン)の恋を妨害する。主人公は大統領になり、世界平和を実現する運命だが、恋が成就してしまうと、それがかなわなくなる。男子トイレで出会った恋人役にエミリー・ブラント。映画はラブストーリーで、調整チームの妨害はラブストーリーには付きものの愛する2人の間に起きる障害の役割に当たる。男子トイレの場面のブラントがハッとするするほどきれい。これなら主人公が一目惚れするのも無理はない。

2012/03/24(土)MultiRemote

無線LANのネットワーク内にあるパソコンを操作するAndoridの無料アプリケーション。メディアプレイヤークラシック-ホームシネマ(MPC-HC)などで映画を見ていて、キャプチャや一時停止などする際にいちいちキーボードやマウスまで手を伸ばすのが面倒な時がある。このソフトを使うと、スマホからキャプチャや一時停止などショートカットキーが割り当てられている操作ができるようになる。

詳細はMultiRemoteに書いてある。スマホにアプリをインストールした後、操作対象のパソコンにサーバーソフト(MultiRemote Server)をインストールする必要がある。デフォルトで操作できるのはマウス、Windowsメディアセンター、パワーポイント、VLCメディアプレイヤー、Winamp、ゲームの6種類。このほかマルチというだけあってカスタム設定で好きなソフトをリモート操作することができる。ソフトの操作割り当ては15個のボタンに設定する。僕はMPC-HCのショートカットを割り当てたが、15個も要らない。よく使うのはキャプチャ、一時停止、終了、フルスクリーン、ブックマークぐらいだ。無線LANだと操作の遅延がありそうだが、ほとんど感じない。一般的なリモコンと変わらない速さだ。

ハードウェアのPC用リモコンも2000円足らずで売っているが、無料に越したことはありませんね。